故郷 村上
Kさん宅 一部は茅葺き屋根(7年に一度葺き換え)を残し、囲炉裏も残してあるサザエは庭で焼いたはしから食べてしまったので写真を撮った時は殆どが地元でエン貝と呼ばれるイガイつまりムール貝ばかりになってしまったが、味付けしなくても海水の塩味だけで十分、最高に旨い。それにこれが何故かナスともよく合い、みそ汁がまた最高だ。荒川に沿って福島県の野庭ッ湖を通り東北道に入るつもりで、赤松林の山道をくねくねと走っていったが、山形と福島の県境の峠でいきなり通行止めとなってしまった。引き返さざるを得なかったが、途中何の表示もなく納得いかない。  20年以上も前の話だが、夏の真っ盛り(今年ほど異常ではないけれども)に毎日新聞で経済部の農政が専門の元記者だった今は亡きMさんが当時主宰していた「農の匠の会」つまり全国から営農革新を目指す達人の会合が山形で開催されたので出席した。その帰りせっかくだから海でもゆっくり見ながらと思って羽越線の鈍行に乗ったが、あまりに海岸が美しく、確か府屋駅だったと思うが、途中下車して釣りをしようとした。ところが釣具店はおろか店らしきものさえ全くなく、しかも次の列車まで2時間もあった。タバコ屋の店先で途方に暮れていたところ、そこへやってきたKさんに相談したところ釣具店のある所まで乗せて貰うことになった。バックミラー越しに「この時間帯は釣れない」というKさんと1時間余りも話した頃には彼の住む村上に着いてしまった。ついでだからとあちこち町の名所案内までしてもらった。都会では、いや長い人生でもこんな親切に遭遇することは恐らくないだろうと感激したあまり、後日お礼を兼ねてKさん宅を訪ねた。そこであらためて城下町村上や自然、豊かな海の幸や山の幸、それに銘酒を知ったことから、すっかり村上のファンになってしまった。以来Kさんとは家族ぐるみの付き合いをさせてもらっており、毎年無農薬のコシヒカリを送ってもらうなど事実上我が故郷となっている。
 一方、駅近くの「割烹たき新」は地元の新鮮な魚介類が美味しく、夏には店主が釣ったイワナ、秋には天然マイタケも出てくる。また「三面川の原生林を守る会」の代表をもしている行動力と人情味溢れる好人物で村上に行くたびに訪れている。小学校からの友人Fさんは話を聞いて訪れて以来、すっかり村上ファンになってしまった。
 そこで'10年夏クルマで一緒に出かけることにした。初日は、「たき新」で疲れをいやし、翌日からはKさん宅で取れたて取り立ての岩ガキ、サザエ、エン貝、アワビとK夫人の手料理で地酒〆張鶴をしこたま飲み、Kさん所有のマンションに戻って温泉に入ってから寝るといういつもながらの贅沢な夏休みをとった。
 日程は渋滞を避けて6日(金)出発の9日(月)帰着にしたが、関越に入るまで4時間、帰りの東北道出口からの首都高もずっと渋滞で、予想外の混み方だった。
 ところが、お盆2日目の13日(金)にNさんのヘリに乗せて貰ったが、空から見た西湘バイパスや東名は、殆ど渋滞なくスムースに流れていたのは予想外というか、考えることは皆同じということか。もっとも翌日の土曜日は高速代が1000円でひどい混みようだったから夏休み時期の渋滞予測は難しい。('10.8.13)空から見ると雨が降っているのがよく分かるガラガラの西湘バイパスと芋の子を洗うような大磯ロングビーチ