なんちゃってリサイタル
 枯山水の講師として「楽器はボケ防止になるか・・」と題し還暦から始めたクラリネットをテーマに引き受けた。それまで楽器の経験が全くといってよいほどなかったので、その部分の脳細胞を揉みほぐしながらやるから、少し練習しただけでも頭が冴えた気になるとか、腹式呼吸だから腹筋運動になり、多少お腹が凹んだなどと話したりもしたが、参加者の興味は一体どの程度吹けるのかの方が興味津々で、すぐさま独奏を始めることとなった。何しろ伴奏もなく安定しない足の拍子でやるのだから素っ裸でアラ丸出しの演奏だ。当初3曲程度披露しようと思っていたが、乗せられたというか、調子に乗ってというか、エストレリータ、小さな花、五つの銅貨、鈴懸けの径、エンターテイナー、上を向いて歩こう、ダニーボーイ、奥様お手をどうぞ、と持参した楽譜8曲すべてを演奏することになってしまい、我が初のリサイタルもどきとなったが、恐らくこの先このようなことはないと思う。会場の東京六甲クラブは音響が大変よいこともあって、幹事さんからは、「素晴らしい音色だった。10年ほどのキャリアでこの域に達したのは、奥様の介助があったとはいえなかなかの才能だ」などとお世辞にしても嬉しい感想をもらった。(2015.9.16)